不正出血

不正出血は女性の体のアラーム
早期に相談し、原因の特定を。

ホルモンの乱れや様々な病気により、生理時以外に性器から出血することを不正出血といいます。「生理不順」、「おりもの異常」と並んで多い症状で、真っ赤な出血(鮮血)や茶色い出血、さらに下着に少し付着する程度の点状の少量出血や2週間以上長引く月経も不正出血です。自己判断をせず、不正出血はすべて「異常」と考え、出血中でも早めに受診しましょう。出血の時期や量、症状から原因を調べていきます。

不正出血の種類

子宮や膣、ホルモン異常による
原因を検査・診断

子宮内のどの部分から出血が起こっているか、原因は何かを検査しながら治療を行っていきます。不正出血の原因は様々なため、少量でも“大したことない”と考えず受診して見ることが大切です。

  • 器質性出血

    子宮や膣、外陰の病気が原因となる出血です。良性腫瘍や悪性腫瘍により引き起こされている場合があるため、原因となる病気を治療する必要があります。

    • 膣炎
    • 子宮頸管ポリープ
    • 子宮内膜ポリープ
    • 子宮頚がん
    • 子宮体がん
    • 性感染症
  • 機能性出血

    女性のホルモンバランスが乱れた時に起こる出血。疲れやストレス、急な体重の増減によっても起こり、思春期や更年期にもみられます。ホルモンバランスが乱れやすくなる病気の恐れもあり、治療が必要です。

  • 中間期出血

    排卵時期にあわせて起こる少量の出血で、病的なものではありません。通常は月経開始日と開始予定日の中間におこり、4日以内に止血します。4日以上長引く時や、量の多い時は異常ですので治療を行います。

  • 妊娠に関する出血

    妊娠中に出血があれば、痛みがなくても病院を受診してください。月経不順で妊娠しているかどうか分からない場合や妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬の使用をおすすめします。

    • 妊娠
    • 切迫流産
    • 子宮外妊娠
    • 切迫早産

生理不順・生理痛

生理は体調のバロメーター
体の異常のシグナルを読み解きます。

生理は女性にとって体調や体の状態を知るための健康のバロメーターです。身体に異常がある場合、生理に何かしらのシグナルが出てくることが多いです。自分の生理周期を知り、体の状態をいち早くチェックしましょう。

生理不順

正しい月経を知る

月経開始日から次の月経開始日を数えると、自分の月経周期を知ることができます。月経周期は毎回同じ周期とは限らず、21~40日で周期がずれることもありますが、妊活中でない場合はあまり心配することはありません。2ヶ月近く月経がこない、2週間で月経が来る場合などは生理不順(月経不順)になるため、受診をおすすめします。月経周期をしっかり把握することで事前に体の異常を察知し、早めの治療をすることが大切です。

  • 月経量異常

    生理中の出血の量は多すぎても少なすぎても問題があり、月経量が少なすぎると「無排卵月経」の可能性があります。また量が多い場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症といった子宮の病気の可能性があります。妊活中の方や健診等で貧血を指摘された方は、早期に婦人科の受診が必要です。

  • 月経期間の異常

    月経は通常14日以内に止まる出血とされています。月経が長期間続く場合は、子宮内膜ポリープや子宮がんの可能性があります。また2日以内で終わるほど月経期間が短い場合も、子宮発育不全や内膜癒着などの病気の可能性があるため注意が必要です。

    正しい月経を知る

    • ・月経周期

      25~38日(変動:6日以内)

    • ・月経期間

      3~7日(平均4.6日)

    • ・経血量

      20~140ml

    • ・初経

      10~14歳頃

    •  閉経

      48~54歳頃

生理痛

月経困難症

生理痛(月経困難症)とは月経(生理)中に、月経に伴って起こる病的な強い痛みのことを言い、何らかの病気が原因の「器質性月経困難症」と、原因となる病気がない「機能性月経困難症」があります。下腹部痛、腰痛、頭痛、食欲不振、吐き気、気分不良などの症状が発生し、身体的にも心理的にも不安定になりやすいです。痛みを緩和する治療としては、痛みの原因物質を抑える鎮痛薬や子宮筋肉の痙攣発作を抑える鎮痙薬、漢方を使った対症療法があります。また黄体ホルモン(プロゲスチン)や、プロゲスチンと卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類のホルモン剤を使ったホルモン療法など、原因や体質に合わせて適したホルモン治療を行います。

器質性生理痛 機能性生理痛
原因 子宮・卵巣の
病気
子宮の過収縮
年齢 20代以降に多い 10〜20代に多い
痛みの時期 月経期間中ずっと 月経1〜2日目
痛みの性質 持続性 けいれん性・周期性
  • 子宮・卵巣の病気が原因器質性月経困難症

    子宮や卵巣の病気が原因となって起こる痛みのことです。子宮筋腫や子宮内膜症が代表的ですが、まれに性病や子宮の形態異常が隠れていることもあります。生活に支障が出る、市販の鎮痛剤が効かないなど困っている場合には、我慢せずに早めに受診してください。

  • 痛みのホルモンが過剰分泌機能性月経困難症

    病気の原因がない、強い生理痛のことです。出産経験のない初潮から思春期世代の方に多く、子宮内の経血を押し出す子宮の痙攣や、プロスタグランジンという痛み物質が原因と言われています。ひどい痛みで生活に支障が出ることもあります。我慢せず、婦人科に相談してください。

生理前トラブル

月経前症候群

生理前3~10日の黄体期と呼ばれる時期に黄体ホルモンが活発に働き、頭痛や腰痛などの身体的症状や、イライラや落ち込み、不安症などの精神的な症状が起こる症候群です。月経が始まると症状が和らいだり消失したりします。症状が重い場合は低用量ピル療法で黄体ホルモンを抑えたり、漢方や鎮痛剤などそれぞれの症状に合わせて薬を服用して治療します。精神症状がひどい場合は精神安定剤を処方します。

カラダの症状

  • 頭が痛い・重い
  • 疲れやすい
  • 肩こり
  • むくみ
  • 乳房が張る
  • 肌荒れ・ニキビ
  • お腹が痛い・張る
  • 吐き気
  • 腰が痛い・重い
  • 発熱・ほてり
  • 便秘・下痢
  • 眠い・眠れない

ココロの症状

  • イライラする
  • 無気力
  • 怒りやすくなる
  • 気分が落ち込む
  • 集中できない
  • 涙が出てくる

子宮・卵巣疾患

婦人科良性疾患
子宮・卵巣の異常を解決します。

女性特有の病気の中で、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫(良性)などのがん以外の病気を婦人科良性疾患と言い、腹痛や月経痛、過多月経、不妊症で気付くことが多い病気です。自覚症状がないことが多く、検診で偶然見つかることもあります。

婦人科良性疾患

月経時に血液の逆流で炎症を起こす子宮内膜症

本来は子宮内にあるはずの子宮内膜細胞が子宮外(卵巣や骨盤内部)に発生してしまう疾患です。原因は明らかになっていませんが、子宮内膜細胞を含んだ月経血が卵管を通って骨盤腔内へ逆流して起こるといわれています。

子宮内膜症性卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞)は月経の度に増殖し、徐々に卵巣を覆って袋状になり、中に月経時の血が溜まり激しい痛みが出ます。ひどい月経痛や下腹部痛を起こすため、ホルモン治療を行います。嚢腫の大きさによっては手術が必要なこともあり、ごく稀にがん化することがあるため注意が必要です。卵巣子宮内膜症性嚢胞になる前に治療をすることが大切です。

子宮にできる筋肉の”こぶ”子宮筋腫

子宮は子宮筋という筋肉で形づくられ、この子宮筋が腫瘤(こぶ)となったものを子宮筋腫といいます。

筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンによって成長して大きくなりますが、はじめは自覚症状がなく、大きくなるにつれて下腹部圧迫感、頻尿、腰痛などの症状も現れます。月経困難、過多月経、不妊症の原因にもなります。筋腫ができた場所で症状が異なるため、症状や年齢、妊娠希望の有無を考慮して、対症療法やホルモン治療、手術治療などを行います。閉経すると筋腫の成長は止まり、治療は必要なくなります。

子宮全体が大きくなる子宮腺筋症

子宮筋肉の内部に本来あるはずのない子宮内膜細胞が入り込み、子宮全体が大きくなってしまう疾患です。子宮内膜症や子宮筋腫と合併しやすく、症状もよく似ています。

子宮内膜症や子宮筋腫と同じように女性ホルモンの影響を受けて進行し、月経のある世代、30代後半から40代以降に多くみられます。治療は、症状や妊娠機能の有無を考慮して、対症療法、ホルモン治療、手術などを行います。

卵巣に水・血液・脂が溜まる卵巣嚢腫(良性)

卵巣の中に水や粘液、脂などが溜まってできる腫瘍で、10歳代から60歳代など幅広い年齢で見られます。

腫瘍が小さいうちは自覚症状がなく、大きくなってから下腹部違和感、腹部膨満感、下腹部痛、頻尿、月経痛などの症状が出現することが多いです。まれに卵巣嚢腫の茎捻転や破裂、出血などで急に激痛を起こすことがあり、緊急手術が必要な状態になることもあります。がん化する腫瘍もあるため、卵巣嚢腫を指摘されたら定期的な受診が必要です。